お仏壇・法事

お仏壇

私たちはあらゆるものに支えられて生きています。

けれども、無くしてみてはじめてその状態や人が自分にとっていかに大切だったか気付くということがあるように、私たちはいつもそこにある恩恵には鈍感で、まるで無いものかのように過ごしてしまいます。生活の中に手を合わせる場所を持つことは、ともすれば「当たり前」で済ませてしまっている「私を支える存在や環境」へあらためて眼を向けて、自分のあり方を問い直し、「当たり前のこころ」を「感謝のこころ」へ変えていく場所を持つことでもあります。自分を取り巻くあらゆる環境を尊いものとしていただいていくという姿勢が仏様に手を合わせるということです。

大切なご家族を亡くした方にとってお仏壇は、亡き方に手を合わせ、お花をいけ、お供えをするひとつひとつの行為を通して、亡き方と対話し精神的な交流をする場所でもあります。そんな対話を通して、亡き方の御生涯全体が自分にとって大切な教えになってくださっていたと手が合わさることが、仏様になってくださるということであると思います。

お仏壇の正面には阿弥陀如来立像をお掛けします。それは亡き人への思いが、個人的な敬慕だけで終わるのではなく、そのことを縁にしてそこからもう一歩、亡き方の御生涯の意味や自分をとりまく様々な物事に対する眼差しを深め、教えに出遇っていく導きを頂くことを意味します。毎朝、また毎晩の手を合わせる時間、それはお願いをする時間ではありません。今当たり前にあるものに眼を向け心を向ける時間です。

お仏壇には決められた飾り方があります。お道具をしっかり揃え、お給仕を疎かにせず自分の生きる姿勢を整える尊い場所として大切にしてください。

お仏壇

基本の御荘厳 (おしょうごん)[お飾り]と名称

  1. 御本尊 (ごほんぞん)
  2. 御脇掛 (おわきがけ) 右側
  3. 御脇掛 (おわきがけ) 左側
  4. 上卓 (うわじょく)
  5. 前卓 (まえじょく)
  6. 輪灯 (りんとう)
  7. 法名軸 (ほうみょうじく)または
    繰出位牌(くりだしいはい)
    ※写真は繰出位牌
  • 1御本尊

    1 御本尊(ごほんぞん)

    お仏壇の正面中央には阿弥陀如来立像をお掛けします。

  • 御脇掛(おわきがけ) 右側

    2 御脇掛(おわきがけ) 右側

    「歸命盡十方無碍光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)」(十字名号)、または「親鸞聖人(しんらんしょうにん)」の御影をお掛けします。

    ①十字名号(じゅうじみょうごう)

    ②親鸞聖人御影(しんらんしょうにんごえい)

  • 御脇掛(おわきがけ) 左側

    3 御脇掛(おわきがけ) 左側

    「南無不可思議光如来(なむふかしぎこうにょらい)」(九字名号)または「蓮如上人(れんにょしょうにん)」の御影をお掛けします。

    ①九字名号(くじみょうごう)

    ②蓮如上人御影(れんにょしょうにんごえい)

  • 上卓

    4 上卓(うわじょく)

    御本尊の前には上卓を置きます。上卓には火舎香炉と華瓶を置いてください。

    上卓

    ①火舎香炉(かしゃごうろ)
    上卓の中央に置き、三本足の一本が正面にくるように置きます。

    ②華瓶(けびょう)
    浄水を備える器であって、花さしではありません。水を清浄にたもつため樒を挿します。

  • 前卓

    5 前卓(まえじょく)

    前卓は上卓の下段に置きます。前卓の上には花瓶と香炉と燭台を置きます。

    ①花瓶(かひん)
    季節の花を挿します。造花は挿さないで下さい。

    ②土香炉(どごうろ) ※金香炉の場合もあります
    三本足の一本が正面にくるように置きます。

    ③燭台(しょくだい)[鶴亀(つるかめ)]
    鶴亀は横向きに置きます。平常時は木蝋をたてておきます。電球蝋燭の場合もあります。

  • 6 輪灯(りんとう)

    お勤めのときに点じます。
    電球はお寺にありますので、切れてしまった場合はお問い合わせ下さい。

  • 7 法名軸(ほうみょうじく)または繰出位牌(くりだしいはい)

    亡くなられた方の法名が記してあります。法名軸はお仏壇の右側面に掛けます。
    繰出位牌は中段や下段の脇に置きます。お軸の掛かる上段や卓の上に置くことはしません。
    法名軸・繰出位牌がいっぱいになった場合、過去帳に転記しましょう。

法事

ご法事は亡き人と改めて向き合う対話と感謝のための時間です。

相手のことを思って自分の時間を費やすということが一番の愛情表現であるように、亡き方のためだけの時間を作り費やすことが、「あなたのことを大切に思っています」というお心を伝えることです。そして皆で故人を思い出し振り返りその御生涯から教えをいただく場所です。

お経には仏様の御説法が書いてあります。私たちがご法事でお経を勤め聞かせていただくという形をとることは、亡き方の御生涯を仏の教えとして聞かせていただくという象徴的な意味があると私は思います。もちろんお経の内容を知っているにこしたことはありませんが、お経の響きをいただきながら、亡き方にしていただいたことや、交わした言葉を静かに思い出す時間です。
お経の後に一緒に勤めさせていただく『正信偈(しょうしんげ)』は仏や祖師方のお徳を褒め称える言わば賛美歌です。共に声を合わせて亡き方の御生涯を讃嘆し感謝をする時間でもあります。ご法事でのお勤めは、教えを聞かせていただくことと、感謝の心を伝える内容で貫かれています。

法事の準備

  • 1

    仏壇内のお道具を下ろしてホコリを払うなど内部の掃除をします。

  • 2

    お仏具[花瓶・蝋燭立て・香炉などの真鍮製のお仏具]のお磨きをして下さい。
    仏具磨きは「真鍮磨き」を使ってお磨きします。

  • 3

    上卓と前卓に打敷を掛けます。
    ※打敷はご法事・お盆・お彼岸などのお仏事の時に掛けます。常に掛けておくものではありませんので、普段はしまっておきましょう。

    打敷・天板(下水板)を外し、打敷を挟みます・上卓・前卓

    打敷・天板(下水板)を外し、打敷を挟みます・上卓・前卓

  • 4

    供笥(くげ)にお供えをします。

    供笥(くげ)

  • 5

    当日は忘れずに御仏飯をお供えし、朱蝋燭[赤色の和蝋燭]・焼香用の香炉、炭、お香・ご家族の念珠をご用意下さい。
    朱蝋燭はお寺に常備してあります。

    朱蝋燭(しゅろうそく)・焼香用香炉(しょうこうようこうろ)

    朱蝋燭(しゅろうそく)・焼香用香炉(しょうこうようこうろ)

法事の時間案内

10時からの法事というときは、10時に集合ではなく、10時にお経がはじまるという意味です。
10分程前には座って準備が出来ているように心がけましょう。
ご親族へ法事の案内をされるときも、10時集合ではないことが分かるようにご案内することが最近では必要でないかと思います。

服装

法事の服装は、華美でない平服で清楚な服装を心がけます。黒の喪服である必要はありません。

本堂でのご法事

本堂でご法事をしていただくことも出来ます。
20分程前には来院して、必要な椅子などを並べ準備をし皆さんを迎えるようにして下さい。
ご自宅でのご法事と同様にお供え物をご用意下さい。お位牌も忘れずにお持ち下さい。

本堂使用料3000円をお願いしております。